燻製のメカニズム解説!味やにおい、保存性向上の理由はコレ!

燻製

世の中には、焼く、炒める、煮るなどなど様々な調理方法がありますよね。

その中で燻すという調理方法はなかなか手が出にくく知らない部分も多いのではないでしょうか。

でも、実際に燻製ってやってみるとめちゃくちゃおいしんですよ。

「燻製風」とうたわれている商品って結構売ってますよね。

それがもう買いたくなくなるくらい、おいしくレベルアップします。

でも、よくわからないまま燻製するっていうのも気になる方も中に入ら写るかと思います。

この記事では、料理というより科学という視点で燻製のメカニズムをわかりやすく説明していきます。

燻製のメカニズムその1:燻製の煙の成分

まずは燻製の煙についてみてみましょう。

燻製の煙は燻煙と呼ばれていますが、これってなんなのかご存知ですか?

実は完全に解明されているわけではなく、なんと400種類以上の成分が含まれているといわれています。

400種類以上って驚きですよね。

その中で主なものはフェノール系の化合物やカルボニル化合物があります。

フェノール系の化合物

木材の主成分はセルロースやヘミセルロース、リグニンなどと呼ばれるものです。

これが燃える、すなわち熱分解していく過程でフェノール系の化合物になります。

フェノール系の化合物のおかげで食品の保存性が向上しますが、これについては後ほどお伝えしますね。

フェノールとは、ベンセンの水素のひとつが水酸基に変わったもので、それ系統の化合物です。

カルボニル化合物

カルボニル化合物とはカルボニル基のある化合物のことです。

有名なのはお酒に入っているアセトアルデヒドというアルデヒドですね。

あとは、料理で使うお酢、これも酢酸というカルボン酸もありますね。

こういったものがカルボニル化合物です。

これらは殺菌・抗菌効果や防腐効果があるので腐りにくくなり、保存性が上がります。

また、燻製独特の渋みや苦味のもともこれらが原因です。

燻製のメカニズムその2:燻煙の浸透

続いて、その燻煙がどのように食材の中に浸透していくかを見ていきましょう。

燻製の煙は独特なにおいがありますね。

においがあるということは水に溶けるということです。

水に溶けるからこそ食材の内部まで浸透していきますが、水に溶けるとはどういう現象かを理解するためにはこちらの記事をご覧ください。

【化学】水に溶けやすい物質とは?そもそも水に溶けるとは?
この記事では、化学でよくある水に溶けやすい物質について紹介しています。溶けるとはどういう現象か、も解説しているのでぜひ参考にしてください。

イメージとしてはたばこのにおいとかですね。

たばこのにおいって服についちゃった経験ある方も多いと思いますが、そういう感じです。

食品の表面はある程度乾燥していますが、水分がゼロではありません。

表面にあるわずかな水分に燻製の煙が溶け込みます。

ここで食材全体を見てみましょう。

内部には燻製の煙が溶けていない水分が存在します。

その水分にリレーのバトンのように燻製の煙の成分を受け渡すようにして、燻製の煙が食材の内部まで届くのです。

詳しくは「浸透圧」というものの理解が必要になりますが、簡単にいえば「濃度が均一になろうとする現象」と考えていただければOKです。

濃度が高いものと薄いものがあれば、濃い方が薄い方から溶媒をもらって濃い方を薄くるか、濃い方が溶質を薄い方に渡して薄い溶液を濃くするかしかありませんからね。

そのような形で燻製の煙の成分が食材内部まで行くので、食材全体で燻製独特のスモーキーな味や香りがするのです。

ちなみに、乾燥させすぎて水分を飛ばしすぎたりしたら燻製はうまくいきません。

干物などは水分が少ないので、煙がほとんど溶けることができないため、スモーキーな風味はほとんどのりません。

ちなみにちなみに、油にも溶けにくいため、お肉の脂身などにも溶けにくく、浸透もしにくいです。

表面にはある程度煙は乗りますが、脂身は水分が少ないため、食材内部にはほとんど浸透しないのです。

興味のある方は、脂身が大量のお肉と赤身のお肉で比較したり、しょうゆのような水分が多い調味料とサラダ油のような油とを燻製して比較してみてください。

燻製のメカニズムその3:保存性の向上

最後は、燻製の特徴である食材の保存性の向上について紹介します。

燻製の煙の成分で紹介しましたが、殺菌・抗菌効果や防腐効果があるのでこれだけでも保存性は向上します。

しかし、これだけではないんです!

実は、フェノール系の化合物おかげなんです。

フェノール系の化合物によって食材の表面にペリクルと呼ばれる薄い樹脂の膜を作ります。

このペリクルという膜は不透水性、つまり水を通さない膜を作ります。

ですので、これによって食材の腐食を抑え、保存性が向上します。

しかし、注意点があります。

このペリクルは食材表面が脱水したときだけ形成します。

脱水していないと腐ってしまったという例もあるようです。

しかし、ここが難しいところなんです。

脱水しすぎると燻製の煙が溶けることができなくなるので、その見極めが大事です。

燻製のメカニズムまとめ

今回は科学の目線で燻製のメカニズムを解説しました。

燻製の煙については400種類以上の成分が含まれていて、それらには殺菌・抗菌効果や防腐効果があります。

また、渋味や苦味も燻製の煙の主成分のフェノール系の化合物やカルボニル化合物によるものが大きいです。

そして、その燻製の煙が食材表面の水分に溶け、それが食材内部に浸透するのでスモーキーな風味が生まれます。

それだけでなく、不透水性の膜を形成することで保存性が向上します。

これらが燻製のメカニズムになります。

メカニズムがわかったところで、ぜひ燻製を楽しんでください!

タイトルとURLをコピーしました