3Dプリンタでネジ山って切れる?造形したネジって使っても大丈夫?

引っ越し

3Dプリンタが家にあると、何かが壊れた時、その場でパッと作れるのがいいですよね。壊れて使えないと困るけど、買いに行くのがめんどうくさいしそもそも売っているところ探すのが大変だし、物によっては10個や100個セットでないと売っていないものもありますからね。

その代表格に、ネジがありませんかね?

1本だけネジが欲しい、でも買いに行くのもなぁ・・・ってときです。3Dプリンタが頭によぎって造形しようというのはめちゃくちゃいい発想です。

が!

ちょっと待ってください。この記事では、3Dプリンタでネジ山が作れるか、すなわち、3Dプリンタでネジを造形することができるかどうかを解説します。

 

3Dプリンタではちゃんとしたネジ山は切れない(できない)

とにかくだめなら買う、というのもいいのですが、「自分でつくれないか?」と考えるのは非常に大事なことです。ネジと3Dプリンタを組み合わせるのは素晴らしい発想だと個人的には本気で思います!

ただ、注意してください。

ネジの造形はできるけど、ネジとしては使わないことをお勧めします。

何言ってるんだと思うかもしれませんが、文字通りなんです。パッと見でネジっぽいオブジェは作ることができます。これはセーフです。しかし、部品としてのネジを造形することができないと考えてください。ついでに言うと、ナットのようなネジ穴も厳しいです。

造形できない4つの理由があるので、それぞれ説明していきますね!

 

3Dプリンタでネジ山を造形できない理由① 精度が悪い

1つ目の原因は精度です。実は、ネジって思っている以上に精密なんですよ。安く買えるので気にしたこともない人が圧倒的に多いと思いますが、個人的にネジって精密部品だと思ってます(笑)
だって、あんなに小さく同じサイズでネジ山を造れるってすごくないですか?あれを造れって言われたら絶対にやりたくないです(笑)

少し脱線しましたが、さすがに3Dプリンタでもその精度は出ません。

つまり、ばらつきが大きすぎるのです。もっと言うと、その原因は温度、湿度、フィラメント、樹脂などの影響が出るので、それぞれのばらつきの影響が合算されてくるので、造形物のばらつきは大きくなるんです。なので、ネジとしてストレス無く使えるような精度は出せないんです。

 

3Dプリンタでネジ山を造形できない理由② 強度が弱い

続いては強度が問題になります。この記事の冒頭で、「ネジの造形はできるけど、ネジとしては使わないことをお勧めします。」とお伝えしましたが、まさにその通りです。ネジのような造形物をオブジェとしてつくるなら強度を気にしなくていいので問題ありません。しかし、ネジとして使いたければ素直に市販のネジを買うのが無難です。

ちょっとしたお遊びでネジとして使うなら様子見ながらで構いませんが、そういった場合は充填率を上げておきましょう。充填率とは、どれくらい樹脂が詰まっているかという指標です。充填率が高ければ中身がびっしり詰まっていて、充填率が低ければ中身がスカスカで空洞がおおいということになるんです。

直感的にも、スカスカよりもびっしり詰まっている方が、壊れにくそうな気がしますよね。ただし充填率を上げようとしすぎると膨張が起こってネジ穴に入りきらないサイズになってしまうので、ちょうどいい造形条件を探してみてください。

 

3Dプリンタでネジ山を造形できない理由③ 摩耗が激しい

3つ目は摩耗の問題です。金属と比べると、樹脂は摩耗にかなり弱いのです。具体的にいえば、ネジを締めたり緩めたりすると、すぐにぼろぼろと崩れてしまうということです。

なんとなく想像できませんかね?

粉がぽろぽろ出てきたり、最後まで締めているつもりが最初よりも弱い力で締まったりするような状況を。

そういうことです。金属よりも樹脂は弱いので、仕方ないのです。なので、機械構造を支えるためのネジとして使うのは強度の問題でNGとなるんです。

 

3Dプリンタでネジ山を造形できない理由④ 局所的なダマの発生

最後はダマの発生です。料理の時に、粉と水を混ぜると発生するダマ、わかりますか?あそこまで大きくはないにしても、そういったダマが造形物にもできてしまうことがあります。これが常に発生するわけでも大きすぎるわけでもないのですが、精度が大事になるというネジでは天敵です。このダマの偶発的な発生がネジとしての機能を損なう原因になってしまうのです。

 

3Dプリンタでネジを作る方法

とはいいつつ、どうしても作りたいんじゃ!何とかならないか!という声も聞こえてきそうなので、私なりの提案をさせていただきます。もし私が、「すぐにネジが必要だ!」となったら、応急処置的に3Dプリンタで造形して、可能な限り早く金属のネジに交換すると思います。

では、具体的な方法をお伝えしますね。

それは、ネジ山を切っていない棒状の造形物を造り、その後にネジ山を切ります。

3Dプリンタでは精度が必要なネジ山はつくらず、ネジ山以外を造形し、造形後の後加工としてねじ山を切ります。こうすれば、3Dプリンタにネジ山を造形させる必要もなくなるので、問題の多くは解決できます。

イメージはこんな感じですね。

しかし、樹脂という特性上、どうしても強度だけは覆せません。ですので、あくまでも応急処置です。ずーっと3Dプリンタで造形したネジを使い続けるのは避けた方が無難でしょう。

 

3Dプリンタでボルトを作る方法

さらに、この考え方を応用していきましょう。今ある技術を別のところで使ってみる、というのも科学の世界では超大事な考え方ですよ!

ネジ山を加工できるのであれば、その受け側もできるはず!と考えてみるのもありです。要するに、ナットです。ナットの内側は3Dプリンタで加工せず、「ネジ穴のないナットのようなもの」を造形します。そして、後加工でネジ穴を切るんですよ。

そうすると、3Dプリンタでもなんとかナットを作ることができます。

もちろん、樹脂なので強度の問題は消えませんが、遊びで作る分には問題ないでしょう!

 

3Dプリンタでネジ山をつくれるかどうかまとめ

最初にお伝えしたように、3Dプリンタでは「ネジのようなオブジェは作れますが、ネジとして使うことはお勧めしない」ということになります。理由としては、精度・強度・摩耗・ダマの4つが挙げられるからでしたね。しかし、それでも、どうしてもネジを造形したいとなれば、ネジ山を3Dプリンタで造形せずに後加工で造形するのがおすすめです。

さらにその発想の応用でナットの造形も提案させていただきました。ナット以外にも、今あなたのお持ちの知識を別のものに応用させてみてください!

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