3Dプリンタで隙間ができるのはなぜ?スカスカな造形物への対策4選

3Dプリンタ

3Dプリンタで何かを作ると、場合によってはすぐに壊れてしまうようなこと、ありませんか?射出成形などと違って、3Dプリンタは条件次第でスカスカになることも多々あります。中身がスカスカになるだけでなく、造形物の層と層の間に隙間ができるようなことだってあるんですよ。

3Dプリンタでは様々なパラメータを設定しますが、多くの場合はこのパラメータの設定が原因のことが多くあります。造形物に隙間ができると、強度が極端に落ちてしまうので、できる限りそういった欠陥はなくしていきたいですよね。

この記事では、3Dプリンタで隙間ができる原因と対策を紹介していきます。

 

3Dプリンタで隙間ができるのはなぜ?

では、なぜ隙間ができてしまうのかをみていきましょう。

隙間ができるということは、そこに樹脂が存在しないということです。つまり、何らかの理由で樹脂を送り込むことができていないので、それに関するパラメータを設定しなおすことが改善への第一歩になります。

私が業務で扱っているのは金属の3Dプリンタですが、ちょっと条件を変更しただけでスカスカというかぼろぼろな造形物になることも多々あります。販売されている樹脂材料で造形できないということはないはず!

ですので、設定していたパラメータを再調整してみましょう。

調整すべきパラメータは、走査速度、積層ピッチ、引き戻し距離の3つですが、ソフトによってはアイロニングという設定もあり、これも隙間対策に有効です。なので、全部で4種類のアプローチができます!今うまくいかないからといってあきらめないでくださいね!

では、順にみていきましょう!

 

3Dプリンタの走査速度を調整して対策

まずは、走査速度が原因で隙間ができてしまうパターンです。走査速度が原因で隙間ができてしまう場合、走査速度が速すぎる場合が考えられます。というのも、ノズルが動くのが速すぎて、樹脂が流動して造形ステージや造形物に流れ切るよりも速く動いてしまうからですね。

これはイメージしやすいですよね?
習字の毛筆、墨と筆で書くあれを思い浮かべてください。いくら墨をたっぷりと筆にしみこませても、ものすごく速く動かしたらかすれちゃいますよね?あんな感じで、樹脂の供給が間に合わないんです。なので、対策としては、少し走査速度を遅くしてみましょう。そうすることで、隙間対策には効果が出ます!

ただ、遅くしすぎると、それはそれで樹脂の供給が過剰になってしまうので、遅すぎも注意ですよ。様子見ながら少しずつ調整していきましょう。

 

3Dプリンタの積層ピッチを調整して対策

続いては、積層ピッチです。積層ピッチが原因となるのは、層と層の間が広すぎて1層目と祖鵺の2層目がしっかりとくっつくことができないような状態です。1層目と2層目、2層目と3層目、3層目と4層目…といったように1層ずつきちんと積み上げたいわけですが、積層ピッチが広すぎると、これら1層1層きちんとくっつけながら積み上げられないということです。エネルギー不足でくっつき切らないということです。

なので、積層ピッチを狭めてみるのが対策になります。ただ、注意することが1つありまして、それは積層ピッチを狭めすぎないことですね。積層ピッチを狭めすぎると、エネルギー過多になり、造形物はいびつな状態になってしまう可能性があります。少しずつ積層ピッチを狭めて様子見ながら造形してみてください。

 

3Dプリンタの引き戻し距離を調整して対策

3つ目は、引き戻し距離の設定です。引き戻しとは、樹脂をノズルから供給し、供給が終わって次の場所に供給する前に若干引き戻すということです。なぜこんなことをするかというと、ノズルから樹脂が垂れて供給量がくるってしまいます。

イメージは注射器ですね。注射器で10mlのところから2mmのところまでピストンを押し込めば8mm分が注射器の針から出てきますよね?しかし、注射器の先端からダラダラと垂れてきたら、ピストンが10mmのところにいても、注射器の中身は10mmよりも少なくなってしまいますよね。なので、その状態でピストンを10mmから2mmまで押し込んでも8mm分は針から出ず、ピストンを動かした距離と射出量が相関取れなくなってしまいます。

こういった状態が3Dプリンタでも起こってしまうのです。なので、それを対策するための設定が「引き戻し距離」です。樹脂の供給がいったん終わったら、若干引き戻すんですよ。

注射器で言えば、10mmから11mlまで引き戻すようにして、注射器先端(ノズル先端)垂れるのを対策するのです。しかし、これは少し難しく、短すぎると垂れてしまい、長すぎると充填率が下がってしまいます。

短すぎる場合は垂れるのを十分に防げていないということでイメージしやすいですよね?では、引き戻し距離が長すぎるとどうなるかはいかがでしょうか?長すぎると次に樹脂を供給するときに引き戻した際の余分な空間が多すぎるので、予定した量の樹脂を供給できなくなる、すなわち樹脂供給量不足となり充填率が下がってしまいます。

なので、適切な引き戻し量を設定することが大切です。

 

3Dプリンタの表面の隙間対策

最後はアイロニングと呼ばれるものです。これは造形物の表面に対する対策です。最表面以外はその層よりも上に次の層が来ますが、一番上の層はそれだけでおしまいなので、隙間ができやすいのです。なので、それを対策する設定がアイロニングです。

これは、最表面をなぞるようにして樹脂を若干供給するようなイメージです。これをすることで最表面の隙間を対策できめすよ。ただ、ソフトによっては名前が違う場合もあるので説明書と照らし合わせてください。

 

3Dプリンタでの隙間対策のまとめ

今回は3Dプリンタの隙間についての対策を紹介してきました。走査速度、積層ピッチ、引き戻し距離、アイロニングで対策をできます!しかし、どれか1つでは解決しな場合もあるので、これら4つをうまく組み合わせて対策してみてください。

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