3Dプリンタの2次硬化とは?手順や時間の設定方法を紹介!

3Dプリンタ

3Dプリンタで造形すると、モノによっては「2次硬化」が必要なものがあります。3Dプリンタでは、材料が金属か樹脂かで大きく変わってきますし、樹脂のみに注目してもいろいろ変わってきます。

その中で、樹脂にフォーカスすると2次硬化がありますよね。

造形し終わった達成感で満足してしまいそうですが、後処理が必要です。この記事では、3Dプリンタで2次硬化が必要かどうか、どの程度の時間が必要かを紹介していきます。

3Dプリンタの2次硬化の概要

3Dプリンタって、造形しているときはめちゃくちゃワクワクしませんか?
日本語では「積層造形」と呼ぶように、少しずつ少しずつ積み上げていくので、完成まで一歩一歩近づくあの感じ!完成まで待ち遠しくなってしまいますよね。

ただ、少し落ち着いてください!
このままだと、せっかく作ったものが壊れてしまうかもしれませんよ…。

というのも、樹脂によっては「2次硬化」という最後の仕上げが必要なものもあるからです。
よし、造形できた!と説明書や注意書きを最後まで読んでいないと見落としがあるかもですよ。
2次硬化とは、簡単に言うと、「造形物に光を当てることで頑丈なものにすること」です。

もちろん、すべての材料で必要というわけではありません。樹脂の種類によっては、光を当てることでようやく本来の姿になる、というタイプのものもあるんです。そういった樹脂にとって、2次硬化をしないというのは、最後の仕上げをしていないということになるわけですから、一歩間違えたら簡単に壊れちゃいそうですよね。

2次硬化は光造形では必要!

では、次に気になるのはどんな材料だと2次硬化をしなければいけないのか、ということですよね。この材料はどうなんだ!が大事なポイントですからね。実は、判断方法は超簡単なんです。

それは、造形方法が光硬化樹脂かどうか、です。

つまり、光造形という方法での造形なら必要だと考えてください。
3Dプリンタの造形方式は大きく分けて7種類ありますが、その中で「光造形」という方式であれば、「2次硬化、必要かも⁉」と考えてみてください。あなたの購入された3Dプリンタの外箱や説明書の最初のページを見ればどういった方式かわかりますよ!

どうして光造形では2次硬化が必要かというと、造形しているときのレーザでは完全に硬化させることができないんです。つまり、ある程度は固まっているけど、しっかり固まっていない、半分固まったような状態、というわけです。ですので、光造形での造形物には必要なんだとお考え下さい。

厳密には、2次硬化が必須なもの、2次硬化が必須ではないもの(どちらでもよい)、2次硬化が不要なものの3種類ありますが、「2次硬化が必須なもの」と「2次硬化が必須ではないもの」に関しては、きちんと2次硬化を行うことをお勧めします。

 

3Dプリンタの2次硬化の時間はどれくらい?

2次硬化するのはわかっていただけたと思いますが、次の興味はどれくらいやるか、ということではないでしょうか?自分から話を振っておいて申し訳ないのですが、これだけやれば大丈夫、というものはお伝え出来ません。というのも、樹脂の種類、造形物の形、造形物の大きさで結構変わってくるからです。1mm角の立方体と30cmの複雑な形状では必要な時間が違うのはなんとなく想像できそうですよね。

ただ、一応の目安はあります!
大体は5~60分の間に収まります。
なので、まずは樹脂材料の資料を見て、その通りの設定でやってみてください。それからは条件出しを行う必要があります。とりあえずフィーリングで構いませんので、とりあえず思うままに設定してみてください。

2次硬化が終わったら様子を見て、十分硬くてひび割れが無ければOKです。
もし、たくさん造形するなら、5分ずつ時間を短くしてどの程度行えばいいかを見極めていきましょう。

まだまだ硬くなっていなければ、5分ずつ時間を延ばしていきましょう。そうすれば、何分2次硬化をすればいいかがわかります。逆にひび割れが起こってしまったら、それは2次硬化のし過ぎです。こうなってしまったら造形物は破損しているので、造形からもう一回になってしまいます。

3Dプリンタが市販の製品といっても、ある程度の条件出しは自分で行う必要があるので、こういった失敗も一つの経験として次に活かそうと考えるようにしてみてください!
このようにして、条件を出していきます。

 

3Dプリンタの2次硬化はいつやる?

3Dプリンタで造形したものは、できておしまいではないとお伝えしましたが、実は細々した作業があるですよ。ただ、全部完璧にこなそうとすると疲れちゃうので、最低限これだけは!というものを5つに厳選したので、これだけはやりましょう。

造形が終わった後にやるべきことは、順番に、

  1. サポート材の除去
  2. 造形物の洗浄
  3. 洗浄した造形物の乾燥
  4. 造形物の2次硬化
  5. 3Dプリンターの清掃

です。

2次硬化は洗浄して乾燥させた後に行うのです。造形が終わったら何をすればいいかイメージできるように簡単に説明していきますね。

 

3Dプリンタで造形後に行う作業① サポート材の除去

まずは、サポート材の除去です。複雑な造形物を造ろうとすればするほど、造形中に崩れないように支えるための「サポート材」を一緒に造形します。これを除去するタイミングは3Dプリンタから取り出してすぐです。

すぐなんですが、ひとつだけ注意!
必ず、ニトリル手袋のような手袋を着用して行ってください。手の汚れや爪で傷つけることを避けるためです。

 

3Dプリンタで造形後に行う作業② 造形物の洗浄

サポート材の除去が終わったら、造形物を洗浄しましょう。IPA(イソプロピルアルコール)やエタノールのような有機溶剤での洗浄になります。造形してすぐでは、未硬化の樹脂が表面に余分に付着してしまうのです。なので、余分な樹脂を落とすために洗浄する必要があります。

ここでも注意!
有機溶剤を直接手で触れると若干手が溶けます(笑)
指紋が薄くなったり、触れた場所がちょっと白くなったりする程度ですけど、気分のいいものではないですからね。あと、有機溶剤は下水に流さないようにしましょう。各自治体のルールに従ってください。

あまり大きな声で言えませんが、少量であればベランダ等の外に置いておいて揮発するのを待つ、という方法もなくはないですが、これをやるなら自己責任でお願いします。

 

3Dプリンタで造形後に行う作業③ 洗浄した造形物の乾燥

続いて、乾燥です。3Dプリンターから取り出して、サポート材を除去して、洗った後は乾燥です。有機溶剤なので水と比べたらすぐに乾きますよ。軽くふいて自然乾燥でOKです。

有機溶剤に触れる可能性もあるので、手袋は外しちゃだめですよ!

 

3Dプリンタで造形後に行う作業④ 造形物の2次硬化

お伝えしたように、2次硬化です。しっかりと行うことをお勧めします!

 

3Dプリンタで造形後に行う作業⑤ 3Dプリンターの清掃

基本的に、2次硬化をしたら造形物の処理はおしまいです。おしまいなんですが、絶対に3Dプリンターの掃除はしましょう。いいですか、絶対、ですよ。「これくらい大丈夫だろう」が不良につながります。

精密機械であることは間違いないので、おろそかにすると動作がおかしくなったり想定通りの動きができなくなったりしちゃうんですよ。その原因が掃除をさぼったからってなったら悲しすぎますよね。めんどくさいのはわかるのですが、絶対に掃除をしてくださいね。

 

3Dプリンタで2次硬化する方法

では、2次硬化ってどうすればいいかをお伝えします。個人的には、メーカー推奨の2次硬化用の装置を購入することをお勧めします。出力、波長、大きさなどなど、きちんと考えられて作られているのでそれを使うのが無難です。

しかし、なかなか効果で購入しにくい場合もあると思いますので、ひとつだけ代案を紹介します。
それはネイルライトを使うという方法です。

2次硬化でいったい何をしているかというと、紫外線のような決まった波長の光を照射しているのです。紫外線もいろいろ波長によって呼び方が変わるのですが、2次硬化で使われているのは一般的には350~410nmの波長帯のUV-Aと呼ばれる紫外線です。なので、UV-Aの波長の紫外線を発する装置を使えば代用できる可能性があるということです。この波長のネイルライトを購入すれば、安いものであれば2000円程度で購入できるものもありますからね。

波長以外の選び方は高さです。造形物が入らなかった本末転倒ですからね(笑)
条件出しはお伝えした通りに、様子を見ながらやってみてください。

 

3Dプリンタ(光造形)で作業を簡単にする新しいタイプの樹脂

これまでにいろいろと3Dプリンター、特に光造形の後処理についてお伝えしましたが、とてもネックになる箇所がありますよね。そうです、造形物の洗浄工程です。

最後に少しおまけとして、この嫌な工程を簡単にできる材料について紹介します。

ズバリ、水洗いレジンです。

光造形で用いる普通の樹脂は、有機溶剤で洗浄する必要があります。水では表面に付着した未硬化樹脂を洗い流すことが難しいから、どうしても使わざるを得ないんですよ。でも、超面倒くさいですよね。だって、まずはその有機溶剤を買わなきゃいけないし、扱いも気をつけなきゃいけないし、簡単に捨てられないしで煩わしいことこの上ないですよね。

でもでも、それを解消するのが「水洗いレジン」です。名前の通り、水洗いできるレジン(樹脂)なので、有機溶剤を使う必要はありません!薬品使わなくていい分、かなり楽ですね。

水洗いレジンでもいくつか注意点があるのでそれらをお伝えしておきます。

 

3Dプリンタ(光造形)で水洗いレジンを使う注意点① 手袋必須

普通のレジン(樹脂)と同じように、ニトリル手袋を着用してください。前述の通り、手袋の理由は造形物の保護(手の汚れや傷をつけないため)と手の保護(有機溶剤を直接触らないため)の2つでした。有機溶剤は使わないとはいえ、造形物の保護は必要なので、必ず手袋をしてください。

 

3Dプリンタ(光造形)で水洗いレジンを使う注意点② 乾燥に妥協しない

続いては乾燥です。乾燥、絶対に妥協しないでください。一長一短ではありますが、水洗いレジンは有機溶剤で洗浄せず、水で洗うので揮発までにかなり時間がかかります。なので、長時間乾燥させる必要があるのです。

1日以上は自然乾燥させておきましょう。

 

3Dプリンタ(光造形)で水洗いレジンを使う注意点③ 2次硬化は必要

最後はこの記事のテーマでもある2次硬化です。2次硬化は必要だと考えてください。十分に乾燥させた後に2次硬化させてください。

 

3Dプリンタの2次硬化時間のまとめ

さて、3Dプリンタでの造形物の後処理、特に2次硬化について紹介してきました。そもそも2次硬化はなぜ必要なのか、必要かどうかはどう判断すればいいかに始まり、2次硬化時間の設定方法や装置の代案、水洗いレジンについても紹介しました。3Dプリンタで造形が終わり、2次硬化をはじめとしたさまざまな後工程がありますが、最低限はこなしてください。サポート材の除去、洗浄、乾燥、2次硬化、そして3Dプリンタの清掃です。これらをやることで良い造形物、3Dプリンタの長持ちに間違いなく良い影響につながりますよ!

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