射出成形でいうVP切替位置とは?注意点から決め方まで解説!

射出成形

射出成形を初めて学ぶみなさん、毎日勉強と業務お疲れ様です。射出成形は成形するまでに知っておかなければならないことがとにかく多いです。成形に関わる用語や意味、様々な条件の設定方法などとにかくたくさんです。

何度も聞いてるはずだけど、「あれ?そういえばこれってなんだっけ?」ってなること、ありませんか?私はしょっちゅうで、いまだに四苦八苦しています。

この記事では射出成形の基本の一つであるVP切替位置について解説していきます。

忘れてしまったらこの記事に戻ってきてください。

射出成形でのVP切替位置とは?

射出成形ビギナーにとって「切替位置」や「VP切替位置」はよく目にするし耳にする言葉ですよね。

何回も聞いたはずだけど…となりますが、ぜひ今日で卒業しましょう!

超簡単に言うと、VP切替位置とは、保圧に切り替えるスクリューの位置のこととなります。

射出成形で決める2つのスクリュー位置

射出成形では2種類のスクリューの一を設定します。

1つ目は計量位置、2つ目はVP切替位置(切替位置)です。

計量位置

ご存じの通り、スクリューがノズルの先端にある時を0 mmと設定しますよね。そこからスクリューが後退することで、溶融した樹脂を計り取っているわけです。

注射器をイメージしていただいて、そこからピストンを引くような感じです。注射器の先端を水に入れて、10 cmピストンを引くと、注射器の中に10 cm分の水が入ってきますよね。

射出成形機はホッパーから樹脂が供給されるという違いがありますが、そんな感じで考えればOKです!

例えば10 mm後退したなら、シリンダ内に10 mm分の樹脂が計量されますし、20 mm後退したら20 mm分が計量されるということです。

この「どれだけ樹脂を準備しておくか」を決めるのが計量位置です。

VP切替位置(切替位置)

成形するときはスクリューが前進して、計量した樹脂を押し出して金型に樹脂を流し込みます。射出成形では、押し出しておしまいではなく、「保圧」をかけるわけです。

このタイミングがいつかを決めるのがVP切替位置です。

例えば、計量位置が20 mmだとしましょう。その状態から15 mm分前進して、そのあと保圧をかけたい、と思ったらVP切替位置は5 mmと設定すればよいのです。

20 mmから15 mm分、0 mmであるノズルに向かって前進するわけですから、ノズルから5 mmの一で保圧に切り替えたいのです。

これがVP切替位置です。

VP切替位置で切り替えた後は何するの?

VP切替位置までスクリューがきたら、保圧に切り替わります。

背圧と保圧時間を設定し、その通りに保圧されます。

この時、何が起こるかというと、簡単に言えば「樹脂の充填」です。

スクリューが前進して樹脂が押し出しただけではまだまだ隙間がある可能性が高いので、ダメ押しでググッと圧力をかけてパンパンに樹脂を詰めておこうというわけです。

適切に保圧をかけると、保圧を一切かけていない時と比べると成形品の重量は変わってきます。これは保圧時間の設定にもかかわってくるので、ぜひ実際成形品を触りながら経験してみてください

VP切替位置の初期値を決めるときの注意点

VP切替位置が何かはわかったけど、結局どうやって決めればいいんだ、という疑問が次にわいてくることでしょう。

とりあえず初期値を仮決めして、そのあと調整します。

調整していくときはよくても、初期値ってどうやって決めればいいんだ…となりますよね。

ごもっともです。私も同じくです。

初めて成形する樹脂に対しては…ズバリ、テキトーです。

は?という気持ちもわかりますが、わからないのでしょうがないです。

テキトーに決めてやるしかないんです。

テキトーと言われても、という気持ちもわかるので、もう10 mmと決めてしまいましょう。

計量位置の計算をするときに10 mm分加えておいてください。計算した計量位置が20 mmだったら、計量位置を30 mmとして、VP切替位置を10 mmに設定するのです。

ここからスタートしていきましょう。

ちなみに、VP切替位置が0 mmになるのは避けてください。

保圧の時に、ググッと押し込む樹脂がないので充填させることができないからです。目安としては3 mmや5 mmくらいは残しておきましょう。

VP切替位置を調整して確定させる方法

VP切替位置は10 mmと設定するとお伝えしました。

はい、テキトーです。

そうすると、十中八九、ショートショットになります。

ショートショットを改善するためには、VP切替位置を小さくしていきます。9 mm、8 mmと小さくしていけば、最初に充填される樹脂の量が増えていくので、ショートショットが改善されていきます。

これを続けていけばいつかショートショットではなく、ぱっと見しっかり充填されている成形品ができあがります。

これが適切なVP切替位置になります。

もし、VP切替位置が5 mmや3 mmになってもショートショットが出る場合は、計量位置を増やしてください。こうすることで、適切な条件を決めていってください。

私も初めて成形するときはなかなかこれらの理解が追い付かないままの作業だったので苦労しました。

理解する気をもって作業すれば必ず整理できるので、落ち着いてガンバってください。

まとめ

今回は、射出成形の基礎であるVP切替位置について説明しました。

VP切替位置は保圧に切り替えるタイミングのことです。

最初から小さな値にして攻めすぎると金型に負担がかかってしまいます。

なので、最初はテキトーに10 mmと決めて、ショートショットを出しながら適切な位置にしていきましょう。

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